交通事故で亡くなったはずの、男子校生の山田くんが、なんと学校のスピーカーに憑依!?
体はないのに、耳は聴こえて、話せるという衝撃の事態に、続きが気になり夢中でページをめくっていきました。
とにかく、山田君の謎事態と、これからの行方が気になりすぎて、頭の中が「!?」で埋め尽くされていきます。
そして、この驚きの状況を受け入れたクラスメイト達との交流がさらにすごい!
スピーカーになった山田くんと、クラスメイト達の、漫才のような軽快なやり取りに、何度も笑ってしまいます!
人智を超えた状態なのに、全く動じない友情の強い絆に、みずみずしく熱い気持ちが込み上げました。
10代の繊細で脆く、多感な感情があふれる空気感が、最高に愛おしい!
時にぶつかり、笑い、涙し、色鮮やかに輝く青春の宝石が、ぎっしりつまったような物語。
そして、ラストに明かされた新事実に、ページを開いたまま、完全石化状態!
しばらくフリーズしてしまいました!
こんな結末が待っていたなんて…!
ネタバレ厳禁の、最高の大逆転青春小説!
その切実な想いに胸が燃え涙しました!
映像化熱望します!
未来屋書店大日店 石坂華月
クラスの人気者だった山田の突然の事故死。
悲しみに暮れるクラスメイトの上に、山田の声が降ってきたーー
明るい山田、優しい山田、語りつくせないほどの魅力に溢れた山田。
山田の輝きは死してなお、色あせることはない。
これは、ぶっちぎりの超絶青春物語――
で、終わるはずがない。
まばゆいほどの青春に消え隠れする、ほんののひと匙の闇。
それは、実は山田が抱えていたものであるし、誰しもが経験しうる痛み。
ただただ笑っていたかった。山田の最期を盛大に送り出してやりたかった。
なのに、鼻の奥がツンとしてしまって、泣くもんかと涙を堪えなければならない。
振り回されてぶん投げられて、吹き出してしまった感情に溺れても、山田と彼らの物語を忘れたくないと切に願う。
本の森セルバ岡山店 横田かおり
まさか亡くなった高校生がスピーカーに憑依するなんて! と、初っ端から目が離せない面白さでした。そこは考えたこともなかったです。笑
設定から面白い!
さらに男子高校生特有のアホらしさ全開の会話に、めちゃくちゃ笑わせてもらいました。男子校って楽しそうだなぁ、いや、山田がいるから(声だけ)こんなにも楽しいのか! と、最強の二年E組が眩しくて、羨ましかったです。
物語が進むに連れて、本当の山田を少しずつ知っていくうちに、あれ? 山田ってもしかしてずっと無理してがんばってたのかな? と、ちょっとずつ物語の温度が変わってきて…
クラスメイトは進級、そして卒業。変わっていくクラスメイトと山田の距離が苦しくて、山田の孤独と虚しさに胸が詰まりました。ラストの和久津君との本気の掛け合いには思わず涙が……。
青春の眩しさと儚さにクラクラしました。
一瞬で読み終えるほど、読みやすくて面白い作品でした!
最後に、ファイア山田のオールナイトニッポンも楽しかったです!
番組ステッカー気になります!
楽しい作品をありがとうございました!
TSUTAYAサンリブ宗像店 渡部知華
身体は成長しても男子高校生の内面は、子供かっ!!と突っ込んでしまいたくなるような言葉の応酬。
なんなの? 合言葉とか、その発想は!
くだらないのに思わず吹き出してしまい、その眩しさにぐっとくる。
そもそも、山田はなんでスピーカーに憑依しちゃったわけ?!
とそんな謎さえどうでもよくなる。
生きている者は変わり続ける。
永遠に二年E組ではいられるはずもない。
じゃ、山田はどうなるわけ??
気づけば、私は山田の気持ちになっていた。
友達といえども見えているものは、ごく一部でしかない。
それぞれの思いに既視感を覚え、なんともほろ苦いではないか。
心だけ立ち止まったままでは大人になれない。
青春に別れを告げる叫びが最高だった。
未来屋書店大日店 石坂華月
最近よく見るようになった全編会話劇で綴られる作品。
最初のわちゃわちゃした男子校生らしいやり取りからだんだんと読み進めていくうちにもしかしたらという思いはあったのだが、最後まで通して読むと山田という存在が実在の人物ではなく2Eのクラスの学生達にとっての青春時代のメタファーなのではないかと思えた。
スピーカーに憑依した山田が喋っていたことは山田ならこう言っただろうという各々が感じていた心の声であり、山田の死の真相も受け止める者によって答えは様々。
そこに止まる者には聞こえるが時が経ち卒業して成長すると共に思い出すことも少なくなり、さよならを告げる事なく過ぎたこととして流れて行ってしまう。
読み終えてなんという作品なのだろう! と胸が熱くなった。
有隣堂町田モディ店 原田明美
またしてもメフィスト賞がやらかした?!
クラスの人気者が交通事故で亡くなったと思ったら
教室のスピーカーに声だけのやりとりできるようになって生き返った?
ってなんちゅーはじまりやーって思いながら読み進めましたが
高校生の頃のあの青くささや男子高校でほぼ女子出てこないので
汗くささ男くささのなかクラスメイトとの関係性や受験、
卒業とスピーカーに憑依したような形なのに青春を謳歌していたり悩んだり
馬鹿馬鹿しかったりするのに、読みやすくてスピード感がありまるで
ジェットコースター×青春(ただし肉体はない)のようなあの頃の気持ち
が男子校ではなかった自分でも感じられて、笑って読んでたはずなのに感情
に浸るシーンもあり最終的には人には力が想いがあると感動すらしました。
あの頃の小ちゃい街だけでしか生きてなかったアオハルが
痛痒くも懐かしい気持ちにさせてくれました。ありがとう山田くん!
蔦屋書店滑川店 宮川謙一
苦しいなあ、青春って。
自分と他人と、その間にあるあれこれに全力でかき回される十代真ん中の、それぞれの自意識のカケラが飛び交う。
成績優秀で面白くてクラスのムードメーカーの人気者の、その光。
誰もが悼む彼の死。
彼の死とスピーカーへの憑依によって見えてくる光の向こう側にある影。
苦しいなあ。
読んでいるうちに、すっと目が細くなる。読みたくない、知りたくない、
という思いが目を細くしていく。
暗闇にいるから光が見える。でも、光の向こう側も暗闇なんだ。
死ぬことで止まる時間。声だけで続く人生。忘れられていく人気者の自分。
死んでも消えることのできない自分を、忘れられていく自分を、
取り残されていく声を、終わらせるために必要なこと。
苦しいなあ。でも、救われたなぁ。
ちょっと泣いちゃったよ、山田。
精文館書店中島新町店 久田かおり
面白かった。楽しかった。私は経験したことのない、男子校という、このわちゃわちゃ感がとにかく愛おしくてたまらない。ただただ真っ直ぐに、聞こえるものそのままに、面白く楽しい日常を全開で楽しむ。クラスメイトが亡くなってスピーカーに憑依していたとしても、その声は聞こえている、存在している。形が変わっても楽しいクラスの日常。最高だ。
これだけクラスメイトひとりひとりを理解し、分析できている最強の山田。その彼が亡くなってしまい、スピーカーに憑依するという発想に驚いたが、クラスにとって欠かせない存在だったのだから、このクラスに現われるというのは納得である。
姿、形はないけれど、声だけのやり取りで十分コミュニケーションを取り、失った時間を取り戻すかのように馬鹿馬鹿しいとも思えてしまう時間がとても濃く温かく感じた。
スピーカーの山田と向き合うことで、みんなもそして山田自身も自分と向き合い気づきを得ている。自分と向き合うこと、奥底の本音を知ること。それは時に恐れと向き合うこと、声に出すことさえ辛いことでもある。山田がスピーカーに憑依することがそこに意味をなしているのだとしたら、震えてしまう。死んだ人間、生きている人間の、切なくも熱い熱いエネルギーに圧倒された。私は、本当の声を出しているだろうか。本当の気持ちを、本音を出しているだろうか。
未来屋書店成田店 森川由香
読み始めた頃は、死んじゃってすぐスピーカーになるなんてそんなことある?? っていう驚きの展開と笑いが詰め込まれて楽しく読めました。
山田は死んでも明るいままだし、スピーカーになってもすぐにみんなに受け入れてもらえるくらいにすごく慕われてて、クラスメイトも、おふざけ面はあれど、あったかくて優しい子ばかりなので、山田の死には真相があって、クラスメイトでそれを解き明かしていくみたいな、それなりに明るい感じの話なのかなあと読みながら予想してました。
でも後半になるにつれどんどん暗くなっていって、山田のつらさを考えると読んでるこっちまでしんどくて…山田にとっても私たち読者にとっても和久津は救世主です!
自分の人生をかけて、ここまで自分のために必死になってくれる人に出会えることって滅多にないですよね! 和久津の生き方かっこいいです!
後半の山田はどんどん暗くなって、見てて本当に辛かったけど、みんなに慕われてたのも、努力したからだし、山田が語ってた人間関係のつらさとか生きづらさにもすごく共感できました。
これは、生きづらさばっかりの世の中で、もし死んでしまって体がなくなっても、消えない友情がある、っていう物語なのかなあって、そんな風に解釈しました。(違ってたらすみません)
好きなシーンは、44ページの、山田に夕焼けの綺麗さを言葉で伝えようとするシーンです。
紀伊國屋書店名古屋空港店 土屋彩乃
大人になってから、どうしようもない感情をうまく扱えるようになったはずだったのに。こんなにも感情を揺さぶられ、どうすればいいのかわからなくなってしまうなんて。この物語は、あの頃の青春そのものだ。
プロローグから既に傑作の予感がした。なんなのこれ?青春小説?それともミステリー?初めて出会うタイプで、どのジャンルにもカテゴライズできない圧倒的パワーが漲る作品だった。
THE男子高生という感じの会話がテンポよく飛び交っていて、何度も吹き出してしまった。笑いあり、涙あり、シリアスありのあらゆる要素が大ボリュームで詰まっていて、一気読み不可避だった。
もしかして序盤の席替えになにか鍵がある?そもそもスピーカーに憑依ってのも引っかかる……と、色々疑いながら読み進めたけれど、結末は全く想像できなかった。
本当に山田はずっと2Eにいたのだろうか。大人になっても学生時代の思い出に良くも悪くも縛られ続けている人がいるけれど、和久津もそうだったんじゃないだろうか。
クラスメイト一人ひとりの、スピーカーになってしまった山田に対する思いが、日を追うごとに少しずつこぼれ落ちていく。そのことに安心しつつも、切なくもなった。
思いが溢れてうまく言語化できない。この感情、ぜひ読んで味わってほしい。
明屋書店喜田村店 高橋杏奈
のめり込むってこういう事だな…
と実感するほどグイグイと一気に読んでしまいました。
クラスで1番の人気者だった山田と残されたクラスメイトとの和気藹々としたキラキラ青春ストーリーだと思っていたら大きく裏切られ、
山田の本当の気持ちやクラスメイトの本音が見えてくるにつれて
どんどん切なくなって、どんどん苦しくなって。だけど、それもまたこの年代にはリアルにありそうで、その事にまた悲哀を感じて。
その苦しさも前半のワチャワチャした明るさもひっくるめて青春や若さって残酷だけど良い!と思いました。
あと、前半のワチャワチャとくだらなくてバカバカしいノリは、男子校らしくて素晴らしい!と、男子校出身の息子を持つ母としては楽しかったです。
明文堂書店TSUTAYA戸田 坂本まさみ
ラジオネーム 生涯読書家
ファイア山田さん、こんばんは!ラジオ投稿はこれが初です。
テーマの『騙された話』ですが、山田の存在そのものすべてです!
読み進めればみんな一度はそう思うはず。
ファイア山田さん、こんばんは。今宵もよろしくお願いします。
テーマの『怒られた話』ですが、読み終わった熱量の反面多くを語ろうとするとどうしてもネタバレになる、それを回避しようと少ない語彙を絞り出して紡いだ結果、分かりづらい説明になる点が毎回各方面に平謝りです。
ファイア山田さんこんばんは!!
ラジオ、賑やかになってます!? 今回のテーマ『ショックな話』ですが、大好きな作品のコンビニ展開コラボを出勤してからSNSのトレンドで気づいた事ですね。仕事終わりに覗いてみたら完売でした。
完売してる事じたいは嬉しいけど買えなかった悔しさも
大好きなら覚えとけよって話なんですが(笑)
そんなファイア山田ことニEの山田よ。
私たち読者とともに永遠に。
紀伊國屋書店グランフロント大阪店 豊永 大
面白すぎて気づいたら読み終えていました。
今まで100回くらい「読書まじでおもろいな。最高やな」って思ってきましたが、本作でも改めて強烈に、今読んでいる店中に「良いですね!!」と響き渡る音量で叫びたい衝動に駆られました。
男子高校生のあほなノリをニヤニヤしながら読める幸せ。
これ誠に至上ですよね。
でも本作はそれだけじゃない。
あほな高校生にも言えないことはあるし、辛いことだってもちろんある。大人になってから思い出すと、それは大したことじゃなかったかもしれない。でも、そういう楽しくない時間もあることが、青春の青いたる所以だし、山田たちはあんなにも輝いていた。
TSUTAYA WAY 海南店 中村友哉
楽しくてちょっとさみしい青春の物語でした。
外の人間が話す山田の人物像と、二年E組が認識している山田の人物像が微妙に違っている所が印象的でした。
本人が話してこなかった部分を意図せず知られていく様子や状況がもう、
胸がギリギリとなって辛かったです。でも“ある”光景だよなあ…
と妙に納得してしまう部分でもあって、青春への解像度の凄さに驚きました。胸がキュっと締め付けられるようでした。
あと終盤の山田と和久津の会話が好きでした。
和久津の事を、あの日の青春をそのまま抱え続けた不器用で優しい人間だと
感じたのですが、そういうちょっとした危うさのようなものがあるキャラクターが個人的に好きなので、和久津が今後楽しいと思えるような事が起きてほしいなとも思いますし、現実に揺れ動く日々を過ごして少しずつ大人になっていてほしいなと勝手に願っております。とても面白かったです。
宮脇書店松本店 島田杏奈
私も高校はほぼ男子校みたいな状況でクラスは全員男子。
偏差値で言ったら穂木高よりだいぶ下の学校なので、より男子しかいないクラスのアホなノリはとても良く分かります。
読み始めた時は死んだ山田がスピーカーに憑依し巻き起こる2-Eの学園生活珍道中的なコメディかと思っていました。
いやはや、そんな単純ではなかった。
プライベートな山田、中学時代の山田。
生きてる者同士でも戸惑うこのやり取りをしないといけないクラスメイトが面倒くさがったり、憐れんだりするのは仕方ないことだろう。
山田は死んでいるので将来がない。大人になったクラスメイト達とはこの先の人生で交わる事は無い。過去でしかない。「今度、飲みにでも行こう」と定番の台詞も使えない。
切なすぎる。
復活した時はあんなに喜んでくれたのに……。
大人になると「学生時代のあの頃に戻りたい」と思う事もあるけど、10代の青春は人生のほんの一瞬だからこそ輝いて見えるし、かけがえのないものなんだと感じました。
若者たちにはそのかけがえのない時間をアホほど楽しんでほしい!
大人はこの作品を読んでたまにはアホで最高な自分を思い出してほしい!
紀伊國屋書店仙台店 齊藤一弥
読了してから日がたってますがなんとも言えない感情が胸に詰まっています。
決して不幸な終わりではないと思うのに苦しさがなくならない。
クラスメイトの気持ちも分かる。
時間がたてば忘れていくこと、思い出すことが少なくなることなんて沢山ある。
思った以上に長い時間だった。和久津が最後まで山田を思っていてくれたけど、その後の和久津を思うと...…皆の気持ちが想像出来るからこそ苦しい。
前半で男子校生のノリに笑ってたのにラストは涙止まらず。(自宅でよかった...)
正直、ちょっと気を抜くと思い出して涙出そうになるくらいには引きずってます。(私だけでしょうか?)
山田!!!私は覚えているぞ!!!
未来屋書店松本店 片岡菜穂
男子高校生、私の周りにはいないのでなんとなくのイメージしかないけれど、想像通りの愛すべきおバカたちだなぁ。それなのに進学校で賢いって言うんだから世の中面白くて不思議。
まず、着眼点が斬新。主人公の山田が既に死んでいて、しかも声だけの存在としてスピーカーになるなんて普通思いつきますか?
山田の存在を隠すべく小細工をするクラスメート達もおバカで愛おしい。
一方で冷めた目で見ている子たちもいるわけで、そのあたりのバランスがうまいなぁと思います。
山田は成長もないまま、周りだけが大人になっていく。その絶望感と恐怖は計り知れません。
寂しさの底でもがく山田をよそに、和久津のきちんとした大人になったら会いに行くって思い、すごくよく分かる。見栄っ張りなんだよね、結局。
始まりのぶっ飛んだ内容から、こんなにも考えさせられるラストにたどり着くなんて。
メフィスト賞ってスゴイな!
未来屋書店名取店 髙橋あづさ
山田くんは人気者だし、面白いし、本当に性格良いから、恨みを持ってる人なんて誰もいないと思うんだけどーーそんな山田が死んだ。
あの頃は、本気で思っていた。
嘘になるわけないと思っていた。
絶対に、永遠に、一生、ずっとずっと。って言ってたはずのものを、
わたしも教室に置き去りにしている。
あそこに閉じ込めたままだってわかっているのに、なぜだろう、
もう開けてみてみる気にもなれないのは。
きらきらと光りかがやくものを閉じ込めたはずなのに、
すっかり古びてつまらないがらくたの詰まった宝箱のようだ。
いや、つまらなくて開けないんじゃない。
本当は中に入ってるものがこわいんだ。
わたしの上げる笑い声が、何かに突き刺さったのに気づかない振りをした。
見たいものだけを見てた。
楽しくて、幸せだったけれど、あの頃の口約束のほとんどを捨ててわたしたちは平気で大人になっている。
そんなわたしを、山田はなんて思うだろうか。
苦しくて、窮屈で、最高で、愛おしくて、
笑っても笑っても笑い足りないあの日々。
また嘘つきになってしまうとしても、やっぱりわたしは山田に、あの頃と同じ言葉を言ってしまいます。きっと。
啓文社コア福山西店 肥後いつか
小中高のクラスを構成する各個人がまたその構成メンバー各個人の人生に
与える影響が計り知れない。教室を背景にした作品が数多く生まれている
所以はここにあります。
世代間で分断が起こり共通認識がなくなりつつある現代において、
ネット上で瞬時に流れていくコンテンツではなく作家が時間をかけて紡いだ小説が持つ意義が大きくなっていることを感じました。
人それぞれの辛い環境に閉じ込められて時間の経過を待つしかない状況を、スピーカーの中にいるという象徴でとらえると、笑える青春小説の形を
とっていますが、金子玲介さんの描いた山田の衝撃の結末は、真実もひとつではないし、やさしさも目に見えるものどけではないことに自覚的でありたい、と思わせるものでした。新しい環境に馴染めなかったり違和感を感じる。
そんなときに発想転換できる作品と読書におすすめしたいです。
水嶋書房くずはモール店 和田章子
あーもーすごいものを読んでしまった!!
すごい作品が生まれてしまった!!
はやく店頭に並んでほしい!!並べたい!!!!
開始2ページ。本人不在。周囲の会話だけでこんな好感を抱ける主人公いる!?それを書ける新人作家さんって何者!!?
初っ端からめちゃくちゃ驚かされ、わくわくした気持ちになり、書店員でよかった!と思いました。
死んだのちスピーカーに宿った山田と2Eのクラスメイトたちとのやりとりの笑えることといったら!
山田と会話できる2Eが羨ましくて、何度、山田と話すための合い言葉を呟きそうになってしまったかわかりません。
ひたすら楽しい物語が進むうちに、明らかになってくる山田の人生。
そして、容赦なく流れる時間と大人になっていくクラスメイトたち。
過ぎ去っていくことも含めての青春を、あますところなく味わいました。
最終話は本当にもう、圧巻でした。
青春もの、友情ものを駆けぬけて、これ、人生と愛の物語じゃん、と心をがくんがくんに揺さぶられました。
(そうだよな、寂しいからって理由で夜中にひとりANNやっちゃうようなやつは、よく考えたらこっち側の人間だよな(偏見だけど)。と、いまさらながらに気がついたりもしました。ニッポン放送さん、特番で「ファイア山田のANN」やりませんか、と思ったりもしました。聴いてみたい……)
山田の、肉体の死の理由を踏まえてから読むこの結末。
あまりに鮮やかで、目が眩みました。
本1冊ぶん山田を知ったあとの気持ちは、
「やっぱり山田、最高だし大好きだ!」です。
福岡金文堂行橋店 富山未都
クラスメートの山田が交通事故で亡くなった高二の夏。
悲しみの中、始まった二学期の教室ではある奇跡が……。
失笑も微笑も嘲笑も爆笑もすべて含んだ高校生の日常が
記される中だからこそ、奇蹟という名を借りた異常さが
際立つかのようです。
くだらない会話に爆笑する日もあれば、辟易する日もあるという事実が、個々の質の差、成熟度の差があることを
そのまま証明してるかのよう。
そしてそれはある一定の偏差値以上の、ある一定の期間内で生を受けたという縛りで生じた高校生の一クラスという、後の長い人生からするとそれこそ特殊にも思える集団の真実であり、程度の差はあれ大多数の人が経験している
からこその郷愁を呼び起こす。
終章に引き裂かれるような切なさまでも感じてしまう
青春記録。
明林堂書店南宮崎店 河野邦広
こんな青春小説読んだことない!!
2年E組の人気者だった山田が夏休みの終わりに交通事故で死んだ。
路上で立ち往生していた猫を助けようとしたところに飲酒運転の車が突っ込んできたからだという。
2学期のはじめ、沈み込んだクラスのスピーカーから山田の声が聞こえ……。
高二男子のバカバカしいやりとりや教員のモノマネに笑い転げ、山田と出会って救われたクラスメイトたちの言葉にジーンとして、山田が同級生たちに見せなかった中学生時代の顔や校外で組んだバンドの顔と人気者の落差に驚愕。
青春していて楽しいだけじゃない、男子高校生の心の闇に触れてしまう、感じてしまう、そして読者である私自身も経験したことのある、自身の中身のなさをも、この物語の中で見つけられてしまう。なんだ、山田は私自身だったのかと。
コロコロと転がるように弾むリズミカルなテンポで進む会話が楽しい。
物語の間に差し込まれる、ラジオ好きと退屈さが高じての「ファイア山田の
オールナイトニッポン」が好き! 面白い!
思わぬタイミングでブチ込まれる笑いにするすると引き込まれる。
しかし、死んでから暴かれる山田の影の部分、死んだ者との対話という異常さに
忌避感を感じる生徒の様子がモヤモヤと暗雲のように胸で広がる。
和久津が抱く山田への想いは真っ直ぐなほど異様な執着を漂わせ、信じられないラストへと加速していく青春の全てとサスペンス!
とても面白かったです!!
ジュンク堂書店名古屋栄店 西田有里
序盤から、緊張と緩和の使い分けが絶妙で、思わず目元が潤んだ次の行で途端に笑わせてきたりと感情の揺さぶり方が巧みでした。なにこの筆致!なにこのリーダビリティ!
(僕は共学の出身ですが)男子だけで集まった時の、まさに
「意味ねぇ、くだらねぇ」深夜ラジオ的なノリなんかはビシバシ伝わってきて最高でした。あの合言葉はズルい。絶対笑う。僕、原宿キャットストリートの真ん中で思わず噴き出しましたからね(※道を歩きながら本を読むのはやめた方が良いです)。
山田を成仏させてやりたい……なんていう、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』ともまた違う、"終わらない青春"じゃなくて、"青春を終わらせられない"、その、切なさというか歯痒さみたいなものが胸に沁みました。
描き足りない気がする部分もチラホラ見受けられましたが、総じて非常に面白かったです。
僕は昨年末にドラマ『下剋上球児』を観ていたのですが、菅生新樹さんが山田のイメージにピッタリでした!!
三省堂書店成城店 竹村真志
クラスメートの山田が交通事故で亡くなった高二の夏。
悲しみの中、始まった二学期の教室ではある奇跡が……。
失笑も微笑も嘲笑も爆笑もすべて含んだ高校生の日常が
記される中だからこそ、奇蹟という名を借りた異常さが
際立つかのようです。
くだらない会話に爆笑する日もあれば、辟易する日もあるという事実が、個々の質の差、成熟度の差があることを
そのまま証明してるかのよう。
そしてそれはある一定の偏差値以上の、ある一定の期間内で生を受けたという縛りで生じた高校生の一クラスという、後の長い人生からするとそれこそ特殊にも思える集団の真実であり、程度の差はあれ大多数の人が経験している
からこその郷愁を呼び起こす。
終章に引き裂かれるような切なさまでも感じてしまう
青春記録。
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こんな青春小説読んだことない!!
2年E組の人気者だった山田が夏休みの終わりに交通事故で死んだ。
路上で立ち往生していた猫を助けようとしたところに飲酒運転の車が突っ込んできたからだという。
2学期のはじめ、沈み込んだクラスのスピーカーから山田の声が聞こえ……。
高二男子のバカバカしいやりとりや教員のモノマネに笑い転げ、山田と出会って救われたクラスメイトたちの言葉にジーンとして、山田が同級生たちに見せなかった中学生時代の顔や校外で組んだバンドの顔と人気者の落差に驚愕。
青春していて楽しいだけじゃない、男子高校生の心の闇に触れてしまう、感じてしまう、そして読者である私自身も経験したことのある、自身の中身のなさをも、この物語の中で見つけられてしまう。なんだ、山田は私自身だったのかと。
コロコロと転がるように弾むリズミカルなテンポで進む会話が楽しい。
物語の間に差し込まれる、ラジオ好きと退屈さが高じての「ファイア山田の
オールナイトニッポン」が好き!面白い!
思わぬタイミングでブチ込まれる笑いにするすると引き込まれる。
しかし、死んでから暴かれる山田の影の部分、死んだ者との対話という異常さに
忌避感を感じる生徒の様子がモヤモヤと暗雲のように胸で広がる。
和久津が抱く山田への想いは真っ直ぐなほど異様な執着を漂わせ、信じられないラストへと加速していく青春の全てとサスペンス!
とても面白かったです!!
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序盤から、緊張と緩和の使い分けが絶妙で、思わず目元が潤んだ次の行で途端に笑わせてきたりと感情の揺さぶり方が巧みでした。なにこの筆致!なにこのリーダビリティ!
(僕は共学の出身ですが)男子だけで集まった時の、まさに
「意味ねぇ、くだらねぇ」深夜ラジオ的なノリなんかはビシバシ伝わってきて最高でした。あの合言葉はズルい。絶対笑う。僕、原宿キャットストリートの真ん中で思わず噴き出しましたからね(※道を歩きながら本を読むのはやめた方が良いです)。
山田を成仏させてやりたい……なんていう、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』ともまた違う、"終わらない青春"じゃなくて、"青春を終わらせられない"、その、切なさというか歯痒さみたいなものが胸に沁みました。
描き足りない気がする部分もチラホラ見受けられましたが、総じて非常に面白かったです。
僕は昨年末にドラマ『下剋上球児』を観ていたのですが、菅生新樹さんが山田のイメージにピッタリでした!!
三省堂書店成城店 竹村真志